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<予測困難な時代に思う8>

進歩の限界を説く言論や、反対に進歩が招く不幸を叫ぶ声が強まり、世論は混とんの
様相を見せている。

だがこうした悲観論は、所詮、過度の楽観主義を裏返し幻想の産物であり、いわば天
に唾した結果にすぎないのである。考えてみれば、科学技術が幸せにしたのは人類

の全体であって、1人ずつの具体的な個人だったとはいえない。
抗生剤は結核の大半を退治したが、それでもたまたま結核で死ぬ個人は残った。そし

てそういう個人は、例外的で孤独であるだけに、多数が結核で死んだ時代の死者より
も不幸だといえるかもしれない。

科学技術が進歩を続け、他方で明日をも知れぬ個人の偶然が残る限り、進歩主義と
積極的無常観の両立は、日本が世界に発しうるメッセージになるのではないか。

(山崎正和、日本芸術院会員・サントリー文化財団副理事長・大阪大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-28 16:01 | Comments(0)
<予測困難な時代に思う7>

織田信長と豊臣秀吉は、どちらも心の底深く現世のはかなさを痛感しながら、不思議にもま
さにその思いを梃子にして、現世を成功目指して闘っていたのだった。そういえば無常観の

本家のような鴨長明の「方丈記」も、この観点から読み直すと暗示的である。長明は現世の
無常を口をきわめて罵り、それを逃れた静寂簡素のわび住まいを讃えあげたすえに、しかし

そういうわび住まいに淫するのも執着の一種であり、仏の道に反すると述べて終わるので
ある。思えば19世紀から20世紀にかけて、人類は科学技術の進歩を信じて基本的に楽天

的に生きてきた。現に人類の全体を見れば、工業と医学の進歩は、社会を豊かにし人生を
長くしてきた。だが20世紀も後半から、この進歩主義に疑いが芽生え、にわかに極端な悲

観論が渦巻き始めた。(予測困難な時代に思う8へ続く、山崎正和、日本芸術院会員・サント
リー文化財団副理事長・大阪大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-24 13:00 | 社会経済 | Comments(0)
<予測困難な時代に思う6>

労働環境を安定させる政策努力は不可欠だが、同時に個人の人生観にも修正の必要が
あるだろう。振り返ると、日本には積極的無常観の長い伝統があって、「明日に夢があるか

ら今日頑張ろう」という思想と、「明日はどうなるかわからないから今日頑張ろう」という思
想が両立してきた。明日の夢にのみ現在の活力を託し、リスボン大地震のまえにたじろい

だのは、西洋啓蒙思想だったのである。若き織田信長が天下布武を唱え、生涯最初の決
戦たる桶挟間の奇襲に臨んで、幸若舞「敦盛」を舞ったのは有名だろう。その時彼が謡っ

たのは「人間五十年、下天の肉をくらぶれば夢幻の如く也」であった。そのあとを継いで天
下統一を成し遂げ、巨城を築き嗣子を儲け、栄華の絶頂に死んだ豊臣秀吉の辞世は、

「露と落ち露と消えにし我が身かな、浪速のことは夢のまた夢」だったという。
(予測困難な時代に思う7へ続く、山崎正和、日本芸術院会員・サントリー文化財団副理事

長・大阪大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-23 14:39 | 社会経済 | Comments(0)
<予測困難な時代に思う5>

「失われた10年」の間にも日本では個人投資家が増え、積極的な株式投資家が増え、
積極的な株式投資を行う傾向があったが、あれは彼らの無神経のせいではあるまい。

加えて日本では、より広範な人に積極的無常観を求め、生きがいのあり方を変えるよ
うに迫る事態が起こっている。

長年の生涯雇用の習慣が衰え、政府も派遣雇用の拡大を計画しているからである。
派遣雇用とは人が組織に就職するのではなく、一つの職種に就いて、手に職をつける

ことを意味している。その点では誇り高い個人にとって悪い制度ではないのだが、これ
を身分の不安定と捉える人には辛い制度だろう。

だがどのみち企業社会は流動化し、倒産や合併縮小が避けられないのが現代である。
(予測困難な時代に思う6へ続く、山崎正和、日本芸術院会員・サントリー文化財団副

理事長・大阪大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-22 15:46 | 社会経済 | Comments(0)
<予測困難な時代に思う4>

首都直下型地震によって全部が被災する可能性があることを知りながら、現に2020年
のオリンピックの計画が着々と進められている。

注目に値するのが減災という概念であって、災害のあることを受け入れたうえで積極的
な対処を図る思想である。さらに予測不可能といえば、今世紀に頂点に達したグローバ

ル化もそれに拍車をかけている。米国の証券会社の不祥事が世界史上を混乱させ、ギ
リシャ政府の失態が日本経済にも影響を与えている。個人には気配も感じられない遠い

事件が、明日にも人の生涯を左右しかねない時代が始まったのである。これに対しても、
しかし人類は絶望の色を見せることなく、無常を前提として前向きに生きようとしているよ

うに見える。 (予測困難な時代に思う5へ続く、山崎正和、日本芸術院会員・サントリー
文化財団副理事長・大阪大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-21 12:52 | Comments(0)
<予測困難な時代に思う3>

昨日、時代にはそれぞれを覆う独特の気分があるが、21世紀前半を特徴づける気分に
は、この積極的無常観が色濃い影を落としそうな予感がする、というようなことを記述。

その続きです。世界的に高齢化が進み、老人の感性が社会への影響力を増すことが考
えられるうえ、たまたまそれと並んで、社会の予測不可能性が急速に高まる傾向が顕著

になったからである。早い話が天変地異が急増し、地震や風水害や砂漠化が日常の脅
威になるような事態は、21世紀以前にはなかった。

かってリスボンの大震災は、西洋の知性を震撼させ、啓蒙主義の行く手に暗雲をもたらし
たというが、今、あの程度の震災は世界中で毎年のように起きている。加えて地震学や

気象学の進歩が皮肉にもこの脅威を増幅し、例えば日本では東海、東南海、南海大地
震が同時に襲う恐れが明日にもありうることは誰もが知っている。だが面白いことに、この

報道に対して、日本人は恐慌にも自暴自棄にも陥らず、防災ならぬ「減災」をめざして地
道な努力を重ねている。

(予測困難な時代に思う4へ続く、山崎正和、日本芸術院会員・サントリー文化財団副理
事長・大阪大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-20 12:54 | 社会経済 | Comments(0)
<予測困難な時代に思う2>

「日々の務めを果たせ、それが自分が何者であるかを知る道だ」と述べたのはゲーテだが、
現代の高齢者はこの箴言を実践して余生を噛みしめているようにみえる。

私自身が老人だから言うのだが、高齢者の人生は明日をも知れぬ毎日の連続である。そ
れが営々と生きる動機は、若い人ががんばる活力の源泉とは違っている。若者が明日の

希望のために努力するのに対して、老人は明日はどうなるかわからないからこそ、今日を
がんばるのである。

世は無常であることを痛感するがゆえに、今日を常の通り生きようとするのである。無常を
覚えながら自暴自棄にならず、逆に今日を深く味わう生き方を私はかねて積極的無常観と

呼んできた。時代にはそれぞれを覆う独特の気分があるが、21世紀前半を特徴づける気
分には、この積極的無常観が色濃い影を落としそうな予感がする。(予測困難な時代に思う

3へ続く、山崎正和、日本芸術院会員・サントリー文化財団副理事長・大阪大学教授資料
参照)
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by refresh_light | 2014-02-19 13:50 | 社会経済 | Comments(0)
<予測困難な時代に思う>

劇作家の山崎正和さんが「積極的な無常観」のすすめについて語っている。いろいろと考
えさせられることが多いので、紹介したい。

高齢化社会が憂慮されている現代だが、当の高齢者たちは意外に元気だと伝えられる。
80歳でエベレストに登った三浦雄一郎氏、102歳にして現役医師の日野原重明氏らは

特例だとしても、定年退職後改めて技能を習得したり、過去の経歴を活かして後進の指
導にあたる姿がしばしば報道されている。

収入の必要に迫られて働く人もいるが、その人たちをも含めて、高齢者の勤労のおもな
動機は生きがいであるという。自分の価値を再確認し、社会にもとめられている実感を味

わうことが、1日の充実感につながっているらしい。 (予測困難な時代に思う2へ続く、
山崎正和、日本芸術院会員・サントリー文化財団副理事長・大阪大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-17 13:32 | 社会経済 | Comments(0)
<オリンピックが生む高価値3>

前回、2012年のロンドン五輪は市民にもおおむね好評のようで、中でも、ロンドン東部の
都市再開発は五輪を巧みに利用した、というようなことを記述。その続きです。ソチ五輪な

どのスポーツイベント事業やアジアの都市再開発事業など、開催経験を生かした英国企
業の海外事業を、国はHVO事業と認定し支援する。いわば、ビジネスソフトにおける跡地

利用だ。翻って20年の東京五輪はどうか。これまで鳴かず飛ばずだった投資先としての
日本を、アピールする絶好の機会とできるか。「おもてなし」ノウハウに磨きをかけた日本

企業によるHVO事業が、海外展開で花開くか、注目される。
(高阪 章・関西学院大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-15 14:26 | 社会経済 | Comments(0)
<オリンピックが生む高価値2>

2012年のロンドン五輪は市民にも概ね好評のようだ。中でも、ロンドン東部の都市
再開発は五輪を巧みに利用した。平時には難しい大規模事業として、今後の跡地利

用のモデルとなりそうだ。さらに面白いのは英国貿易投資総省の報告書だ。それに
よれば経済効果は総額99億ポンド(約1.6兆円)で、うち6割は売上などの直接収

益で、残り4割は五輪関連の対内・対外投資による収益だ。
英国はもともと有力な投資受入れ国だ。それが今回の開催では投資会議を招集な

どして、12年の対内投資は前年比21%増と、41%減の他の欧州連合とは好対照。
対外投資ではHVO(高価値機会)がキーワードだ。

(オリンピックが生む高価値3へ続く、高阪 章・関西学院大学教授資料参照)
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by refresh_light | 2014-02-14 14:37 | Comments(0)